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 歴代ゴジラとは異なる、TVアニメだからこそ実現した“ゴジラ”
『ゴジラ S.P』は歴代の「ゴジラ」シリーズと異なる点が大きく二つある。一つはゴジラに立ち向かう主人公が一般人であることだ。

「国レベルで戦う話はどうしても『シン・ゴジラ』と同じになってしまうので、できないだろうと最初の段階で決まっていました。とはいえ、ただゴジラから逃げ惑う人々やゴジラが歩いているだけで普通に生活をしている人々を描くわけにもいかない」

「2時間の映画ならそれで乗り切れるかもしれません。ゴジラが登場したとして、どこか広い土地を与えておけば、たまに熱線を吐くくらいで増殖するわけでもない。来たら逃げればいいじゃんと。それはそれで面白いと思うんです。でも、13話となると視聴者のみなさんは冷静になってくる。どこかの動物園からライオンが逃げたのとあまり変わらなかったり、ドラマとしてうまく成立したけれどゴジラと関わりませんでしたってわけにもいかないじゃないですか(笑)」

それゆえ、本作では神野銘(カミノ・メイ)と有川ユンという男女二人のキャラクターをメインに据え、そこからどのようにドラマをつくり上げていくかを考えた。とはいえ国を救う権限も資金力もない一般人がゴジラを倒すのは、当然のことながら非常に難しい。そこで、ゴジラに立ち向かう鍵となるのが、主人公たちが持つ知識と技術力だ。

「ゴジラほどの大きな生物を倒すには、落とし穴か毒薬か爆弾くらいしかありません。一般のボーイ&ガールはそれすらも使えない。ただ知恵があるだけなんですが、そこででてきたのが、ロボットやAIですね」

歴代シリーズとのもう一つの違いは“メッセージ性”を極力排除したことだ。これまでのゴジラは時代を反映したテーマを何かしら内包している。『ゴジラ S.P』でも今の時代を反映し、メッセージ性を付与することもできただろう。ところが、本作においてはエンターテインメント作品に振り切ったのだ。それは「アニメでできることをやろうとしたから」だという。

「本作は“頑張れば何とかなる!”みたいなお話です(笑)。戦争や核、環境汚染などゴジラはその時代の大きなテーマを反映してきた。それがチャレンジでもありました。本作でもメッセージ性が全く入っていないわけではありません。人間はどうしても自分たちが想像できる範囲で事柄に対処しようとする。本作のゴジラはそうではなく、根本的に分からないものとして描いています。物理法則を無視した存在、昔の自然の概念と同じですね」

「本作のゴジラは説明できない“特異点”です、本質的に不可知であるものに対する敬意はある程度必要ですよ、と無理やりテーマをつけることもできます。ただ、今を反映して何かメッセージを明言するよりも、せっかくアニメのフォーマットでの表現ですしエンタメに振り切って楽しんでいただければと」
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/and_M/20210329/24914305/




































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